健康の源は「歯」から。
これからの人生100年時代を駆け抜けていくためには、一つ一つの健康を見直して、トータルの意味で長生きをしていかねばなりませんよね。
だって、いくら100歳まで生きたとしても、不健康な状況や障害を持ってしまうと何のために生きているのかの目的を見失ってしまう事にもつながってしまいます。
私の専門分野は生命科学関連なのですが、人生100年時代を可能にさせる可能性というのはいくつか見えつつある・・と思っています。
今はそのピースが整いつつある状況。そのピースを人体の生命にどう当て込んでいって健康寿命を長くしていくのか?これを見出している旅の途中とでも言えるでしょう。
昔はちょっとしたキズを介して破傷風になったりして小さな子供や大きな大人までバタバタと倒れていた過去。ペニシリンという抗生剤が見つかった事などや直近では癌の治療においても免疫チェックポイント阻害薬という免疫療法が入ってくることにより多様な病気の克服を進めていっています。
今日取り上げたいテーマは「認知症」。
痛いわけでもなく、不安に駆られる事もない・・。
患ってしまった本人としては直接の痛みを感じるわけではないですが、
自分の意志で色々とチャレンジができないという辛さもあるでしょう。
また、その人を支える人たちも心の痛みを感じてしまいます。
この認知症は過去、「ボケ」「痴呆症」「アルツハイマー病」と言われていましたが、用語が統一し、正式な疾患名は「アルツハイマー型認知症」となっています。
この疾患はまだまだ謎が多いとされていますが、いくつか機序が分かってきています。
有力な仮説として、認知機能をつかさどる大脳皮質の委縮と脳内に老人斑というものや神経線維変化を生じることにより認知症が進むとも言われています。
この老人斑の原因が神経毒性の強いAβタンパク(βアミロイドタンパク)というものです。
先週、一つのプレスリリースが公表になりました。
世界初ヒト歯周病の歯茎で脳内老人斑成分が産生されていることが判明
〜歯周病によるアルツハイマー型認知症への関与解明の新展開〜
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/37543/19_11_14_01.pdf
九州大学大学院歯学研究院の武 洲准教授と倪 軍軍(ニイ ジュンジュン)助教の研究グループが中国の大学と共に研究している結果がでたようです。
詳しくはリンク先の研究結果をご覧いただければと思いますが、
ヒトの歯周病の原因となる菌「ジンジバリス菌」を投与されたマウスの肝臓に先ほどの老人斑の原因である「アミロイドβ」が産生されていたとの事です。
このようにアミロイドβが何かしらの影響で出るという所の出所を確認したもので歯周病の関連を見たのはこの報告が初めてとの事。
となればアミロイドβを生体内に沈着させない方法はいろいろあるとしても、まずは自分自身の生活習慣として、「歯周病」にならない事が認知症予防の一つなのかもしれませんね。
神経毒性をもっているこのアミロイドβをターゲットにした創薬が進められてきていました。ただ、結果を出せた薬はまだ出せていません。ことごとく創薬研究が失敗している中で、エーザイがちょっと可能性のありそうなものを見出してはいるようですが。
ただ、加齢によって、生理機能の低下よっても、このβアミロイドは発生する可能性もあります。出てきたβアミロイドを叩くだけではなかなか難しいのかもしれません。
根本解決としては、これらのアルツハイマー型認知症を引き起こす可能性のあるものを日々の生活の中で排除して予防していく事。
その一つで歯周病予防が一つの可能性であることを示したのでしょうかね?
私も今度、歯周病チェックの一環で歯科医に行って来ようっと・・。