終了後にも調べているのはカカオの主成分のテオブロミンの血中濃度から考えられており、血中内から亡くなるだろうと予測して終了後3週目を設定
認知機能測定は大変そうだな・・と思ったが、この試験の年齢中央値は25歳くらい。
みんな若いので、結構突っ込んだ認知機能検査をしています。
2種類のテストで認知機能を調べている。
【テストA】
赤、黄、青、緑という文字が4色の異なる色(赤、黄、青、緑)で記されていて、文字の読みまたは色を瞬時に答える。
【テストB】ランダムな0~9の数字の中から、口頭で述べた数字だけを時間内にできるだけ多くチェックする(1分間の休憩を挟み3回連続実施)。
【結果】
治療前の認知機能と血中NGF濃度は①と②で両群同等だった。
30日の介入期間中は他のチョコ摂取やカフェイン摂取もルールを順守しており両群に差はなかった。
ただ、介入後に①(ダークチョコ群)では血中NGF濃度が有意に上昇していた。(P=0.0059)。
またテストの方ではテストAでもダークチョコ群は優秀な成績(P=0.017)でテストBでも正解率が有意に向上していた(P=0.014)
介入終了から3週間後の血中NGF濃度は試験前の水準に戻っていたが、一方で認知機能は有意に高い状態で維持されていた。
その際の介入後のテスト1の文字の色読みの正答数でもダークチョコレート群では介入前より有意に増加していたようだ(P=0.012)
治療介入後、ダークチョコ群でテオブロミン濃度の血中レベルが有意に高かった。
一方で血中カフェイン濃度、脳由来神経栄養因子(BDNF)、前頭前野血流量は、両群ともに有意な変化は見られていない。
結論として
①「ダークチョコレートの連日摂取によって、血中NGFとテオブロミンのレベルが上昇し、認知機能の向上が認められた」
②「連続摂取が終了しNGF、テオブロミンレベルが介入前値に戻った後も、認知機能の高い状態が継続していた」
としている。
ただ、どうして血中NGFが増加したのかの生理的考察までは行き届いていない。
個人的に考察してみたが、過去から、チョコレートとうつ病に関しての報告はいくつか出ていた
Is there a relationship between chocolate consumption and symptoms of depression? A cross-sectional survey of 13,626 US adults.
【Depress Anxiety. 2019 Oct;36(10):987-995.】
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/da.22950
大規模なデータ解析の結果、チョコレート、特にダークチョコレートの消費が、臨床的に関連する抑うつ症状のオッズの減少と関連している可能性がある事が分かった。
他にも、下記のような報告も出ている。
いずれも、系統的なレビューであることから生理的現象まではとらえてはいないが、どうも高純度のカカオポリフェノールは脳機能保護には有用そうだ。
また、動物モデルにはなるが、アルツハイマー病におけるタウの過剰リン酸化とβアミロイドの凝集を調節する上でも、果物や野菜のポリフェノールは有用かもしれないといわれており、カカオポリフェノールもその一環を担うのかもしれない。
ω-3脂肪酸は脳内で、セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質やNGFとタイプが近いBDNF(脳由来神経栄養因子)にも作用していることがわかっています。
結局は様座な因子が絡んで結果に結びついているかと思います。
個人的にはω-3脂肪酸を含む魚介類を取りながら魚料理だけどワイン(赤)をちょこっと飲んで、最後にバレンタインで超ど級ビターチョコを渡す。
健康志向の妻としてダンナ(比較的上の世代)のハートを鷲づかみにできるかも?